竹村公太郎氏が描いた日本のダム湖の未来を、ナノバブル技術で実現する。ダム湖浄化とカーボンクレジットの新潮流
文明の要、ダムに眠る未利用のポテンシャル
元建設省(現国土交通省)の河川局長であり、名著を多く世に送り出している竹村公太郎氏。
彼の著書『水力発電が日本を救うー今あるダムで年間2兆円超の電力を増やせる』を紐解くと、日本の地形がいかに豊かであり、そして「水」がいかに国家の根幹であるかが再認識させられます。
今、私たちが注目しているのは、その竹村氏の構想を現代の技術でアップデートすること。具体的には、「水力発電ダム」のポテンシャルを最大化するプロジェクトです。
竹村氏が同著で説くのは、「未利用資産」の存在です。
日本には数多くのダム湖がありますが、その水が持つ膨大な位置エネルギーは、現状では電力としてほとんど活用されていません。
このポテンシャルを最大限に引き出す方策を講じれば、途方もない電力が生まれると確信しています。その手法は、けっして非現実的なものではありません。
すでに完成しているダムであっても、最新の技術を用いれば発電施設を後付けすることは十分に可能であり、最大の障壁は技術そのものではなく「行政の縦割り」を正せば簡単にでき、既存インフラを最適化するだけで、日本のエネルギー事情は劇的に改善すると説いているのです。
誰も気づかなかった「夜間の余剰電力」の使い道
これまでダム湖の環境改善が進まなかったのは、意欲がなかったからではありません。
効果的な技術とその利用構想が無かったからです。
我々は、極小の電力で稼働する、そのため巨大な量の水に対しても適用可能な 超高密度ナノバブル技術、Nano-Inset をつかってこの問題にタックルする構想を提案しています。
まず、水力発電ダムは24時間電気を作り続けていますが(除、揚水発電ダム)、電力需要が下がる夜間には「余剰電力」が発生します。
この、ほぼコストゼロに近いエネルギーを使って、ナノバブルを生成し、ダム湖に大量の純粋酸素を送り込む構想です。
これまでは「ナノバブルを大型ダム規模で展開するのは不可能」と思われてきましたが、Nano-Insetの技術と、竹村氏の描くインフラ活用術が合わされば、それは現実のものとなります。
なぜ「ダム湖の浄化」が必要なのか
ダムは日本のエネルギーと治水を支える重要インフラですが、一方で大きな環境課題も抱えています。
温室効果ガスの隠れた発生源
ダム湖の底に堆積した有機物が無酸素状態で分解されると、二酸化炭素の25倍以上の温室効果を持つ「メタンガス」が発生します。
世界中のダムから放出されるメタンガスは、無視できない規模に達しています。水質の悪化と生態系への影響
水の滞留により、夏場のアオコ発生や悪臭、深刻な貧酸素状態が引き起こされます。
これは周辺の生態系だけでなく、下流の河川環境にも悪影響を及ぼします。
メタンガスの排出を抑制すれば、それをカーボンクレジットに替えることが可能です。われわれはダムを「負の遺産」ではなく「カーボンクレジットの源泉」としながら、同時に「ネイチャーポジティブ(自然再興)」の拠点へと転換させることが狙いです。
ベースラインシナリオ構築を阻む「計測の壁」
しかし、このプロジェクトを社会実装するためには、避けて通れない巨大な「計測の壁」を乗り越えなければなりません。
私たちの介入(インターベンション)による効果を証明するためには、比較対象となる「ベースラインシナリオ」(もし何もしなかったら、ダム湖はどうなっていたかという過去・現在・未来の推移)を極めて高い精度で構築しなければなりません。
そのためには、以下の高度な測定が不可欠です。
エビュリション(気泡放出)の捕捉
湖沼からのメタンは、底泥からの突発的な「泡」として放出されます。
これを捕捉できない簡易データは、ベースラインシナリオとして認められません。フローティングチャンバー法などを用いた精密なフラックス測定が必要です。底質データの裏付け
「なぜメタンが発生しているのか」というメカニズムの証明(TOC、ORP、溶存酸素プロファイルなど)を同時に取得し、科学的な裏付けを行う必要があります。長期連続計測による季節変動の網羅
メタン生成は水温に大きく左右されます。信頼に足るベースラインシナリオを描くには、最低でも1年以上のデータ蓄積が必須となります。
「守り」の計測から「攻め」のルールメイクへ
私たちがこの困難な計測に挑むのは、単なる現状把握が目的ではありません。
それを世界基準のMRV(Measurement, Reporting, Verification)に乗せ、カーボンクレジットという価値に変える「ルールメイク」に挑むためです。
1. ベースラインシナリオの確定
過去から現在に至るデータをもとに、「もしこのまま何も対策を行わなかった場合、未来にわたってどれだけのメタンが排出され続けるか」を統計的に予測するシナリオです。
これがすべての削減量の基準(ベースライン)となります。
2. インターベンションによる予測シナリオ
対象となる湖沼に対して、どのような人為的介入(インターベンション)を行うかを定義し、それによってベースラインシナリオからどれだけ排出量が下がるかを予測します。
クレジット審査においては、まず既存の「インターベンションライブラリ(登録済みの方法論データベース)」に自分たちの技術が当てはまるかを確認します。
もし存在しない場合は、世界に先駆けて新しいインターベンションとして方法論そのものを登録するところから始めなければなりません。
計測という「守り」を、世界基準のルール作りという「攻め」に転換する。
これこそが、私たちの戦略です。
公益事業としての「ルールメイク」に対する支援を
このように、未知のインターベンションを世界基準のMRVに乗せ、精緻なベースラインシナリオを構築するためには、大学等の研究機関との協力、高度な分析機材、そして長期間のフィールド調査が不可欠です。
これらには膨大な初期費用とリソースがかかります。
一民間企業が、新しいインターベンションの登録という「世界的なルールメイク」のコストを単独で背負うのは非常に困難です。
既存インフラ(社会共通資本)を活用し、気候変動対策と水環境保全を同時に実現する。
この極めて公益性の高い事業を推進し、日本発の確固たるベースラインシナリオとMRV手法を確立するためにも、自治体や国による調査費用の支援や、実証フィールドにおける積極的なバックアップの仕組みが強く望まれます。
私たちは、昭和の遺産であるダムを水力発電ダムへと転換し、その上でその余剰電力と Nano-Inset を組み合わせることで令和の脱炭素・環境再生インフラへと進化させる第一歩を踏み出します。
ビジネスパートナー募集
CWMは現在、この「Nano-Inset」技術を用いて共に社会に大きな変革をもたらすビジネスパートナーを募集しています。
ハードウェアの販売益ではなく、地球環境への貢献とカーボンクレジットという新しい価値創造にご興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

